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    解決へ首相の決断迫る/建設アスベスト訴訟原告団

     10度連続となる国敗訴判決が大阪高裁で示されたことを受けて、建設アスベスト(石綿)訴訟の原告と支援者らが9月25日、首相官邸前で、国に裁判の断念と解決への政治決断を迫った。行動には雨が降る中、約300人が参加し「これ以上被害者を苦しめないで」などと訴えた。

     石綿による呼吸器疾患を患い、話すのもつらいと語った大阪1陣訴訟原告の郡家滝雄さんは「建材メーカーに35年間だまされてきた。建材に病気になるという警告表示はなく、国は使うよう指示してきた。その建材を削り、切断し、穴を開け、病気になった。安倍総理、病気の責任を国が取ってください。私たちの声を聞いてください」と訴えた。

     大阪訴訟の村松昭夫原告弁護団長は「被害者は苦しい中、国と建材メーカーの責任を問うために闘かってきた。国もあらゆる主張を行い、その結果が国の10連敗だ。もうこれ以上裁判を続ける悪あがきはやめてほしい。首相は裁判(上告)をやめ、被害者の救済を」と、政治決断を求めた。

     国は最高裁上告で争う構え。原告は、謝罪と全ての被害者の救済、建材メーカーと国の出資による救済基金の創設を求めている。

     

    〈写真〉原告の一人は「国民の生命と財産を守るという約束はどうなったのか」と首相の決断を迫った(9月25日、官邸前)

    〈写真〉大阪1陣訴訟原告の郡家滝雄さんは酸素ボンベを背負いながら、原告の声を聞くよう首相官邸に向けて訴えた(9月25日、官邸前)