NPO派遣労働ネットワーク(理事長・中野麻美弁護士)が9月1、2日に行った「派遣トラブルホットライン」には、「雇い止め(契約打ち切り・不更新)」の相談が多く寄せられた。大半が、2015年「改正」で個人単位の派遣上限が一律3年(有期雇用の場合)とされたことによるものだった。派遣ネットは、派遣元に課された「雇用安定措置」が機能していないとし、「派遣労働者の権利主張が可能となるような、派遣法の抜本改正が必要」と指摘している。
ホットラインには2日間で145人から相談があった。雇い止めに関するものが61人で、相談者全体の42%。前回(16年)の22人・22%、前々回(15年)の13人・11%を大きく上回った。雇い止めの多くが「個人単位3年上限規制によるもの」だという。
「10年以上同じ派遣元・先で働いている。先日とうとう契約打ち切りを通告された。理由は長く働いているというだけ」(受付業務・50代女性)などの深刻な相談が寄せられている。
15年「改正」では、期間制限のなかった専門26業務派遣をなくし、事業所単位で3年、個人単位で一律3年の上限規制を設定。3年の派遣見込みのある派遣労働者について(1)派遣先への直接雇用依頼(2)新たな就業先の提供(3)派遣元による無期雇用――などの「雇用安定措置」を派遣会社に義務付けた(派遣見込みが1年以上3年未満の場合は努力義務)。
派遣ネットはこの雇用安定措置が「機能不全」だと指摘する。実際に寄せられた声では、「2015年3月から派遣期間が3年を超えた。8月に突然9月末で終了と言われた。雇用安定措置みたいなことは全く示されていない」(40代・女性)、「同じ派遣先で働きたいが、派遣先はパートでないと無理と(いう回答)。派遣元は無期雇用になるには派遣料金の値上げが必要という。結局、契約が切られそうだ」(30代・女性)などの実情が紹介されている。
そのほか、無期雇用になると交通費の分だけ時給が減額されるケースや、実際の労働条件と異なるいい加減な契約、「『かわいくないと更新できない』などと言われていた。ストレスが多く、メンタル疾患で通院し、退職した」(女性・事務職)など派遣先による深刻なハラスメントの実例も示されている。
コメントをお書きください