厚生労働省の労働政策審議会「雇用環境・均等分科会」が9月25日に開かれ、職場のセクハラ・パワハラ規制について労使が議論した。労働側は「国際水準に合わせたハラスメントの包括的な禁止規定」を求めたのに対し、使用者側は「セクハラ・パワハラを分けて議論し、規制ではなくガイドラインにとどめるべき」とし、意見が対立した。
男女雇用機会均等法は、事業主に対してセクハラ防止の措置義務を定めているが、セクハラそのものを禁止する規定はない。パワハラについては措置義務さえない状態だ。
労働側委員は「セクハラ、パワハラを個別に議論するのではなく、ハラスメント全般をカバーする禁止規定が必要」と指摘。別の労働側委員は、6月の国際労働機関(ILO)総会で職場における暴力とハラスメントを禁止する条約制定の方針が出されたことに触れ「(パワハラ対策に限定した3月の)厚労省検討会の意見だけではなく、ILO総会での議論を重く受け止め、世論の動きに応えてほしい」と要望した。
これに対し、使用者側委員は「セクハラは女性の活躍を阻害するものとして認定された。ハラスメント対策の検討会で出された議論を前提に、何をもってハラスメントなのか、定義を明確化してほしい」と主張。セクハラとパワハラは別々に対策を講じるべきと述べた。
●法規制拒む使用者側
審議会ではハラスメントの禁止規制に踏み込むかどうかで、労使が激しく対立した。
使用者側委員は「中小企業には(ハラスメント防止の)ノウハウが少ない。法による措置義務ではなく、ガイドラインを作る方が現実的。ハラスメントに関連する情報の周知がまず必要だ」と述べ、法規制には消極的だった。
労働側委員の井上久美枝連合総合男女平等局長は「男女雇用機会均等法にセクハラの規定が盛り込まれたことで、問題の受け止め方が変わった。ハラスメント全体を防止する法律を作ることが大前提だ」と反論した。その上で「国際競争力が必要というなら、国際基準のハラスメント対策が必要だ」と強調。ハラスメント行為の違法性を明確化し、損害賠償請求できる根拠規定を作るべきと訴えた。
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