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    裁量制調査方法を検討/厚労省専門家会合がスタート

     裁量労働制の適用対象を拡大する根拠とされた、厚生労働省の調査データに多くの異常値があることが判明し、先の通常国会では裁量制に関する改正部分が働き方改革関連法案から削除された。そのことに関連して、同省は9月20日、裁量労働制の実態調査の方法を検討する専門家検討会をスタートさせた。信頼できる調査方法の検討を、国が外部の識者に委ねるという前代未聞の事態。年内には結論を出す予定で、その後の再調査と「法改正」への布石となる。

     働き方関連法案の国会審議で、安倍晋三首相は1月、裁量労働制が適用されている人の方が、一般労働者よりも労働時間が短いというデータがあると答弁。企画型裁量労働制を営業職に拡大する「改正」の必要性を訴えていた。しかし、その後、データに異常値があることや、不適正な方法で比較していたことが判明、政府は関連する改正部分の削除に追い込まれた経緯がある。

     検討会は、学者5人と労使各1人で構成。連合総研の小島茂客員研究員が厚労省調査の問題点を指摘したうえで、規制緩和に政策誘導する意図があったのではないかと指摘。他の委員からも、「政策誘導的な調査だと思われることは得策ではない」(小倉一哉早稲田大学商学学術院教授)などの意見が出され、座長の西郷浩早稲田大学政治経済学術院教授が「統計調査は客観性が一番重要だ」と応じた。

     

    〈写真〉裁量労働制実態調査の手法から検討する厚労省の専門家検討会。結論ありきの調査にしないよう注視が必要だ(9月20日)