働き方改革関連法に盛り込まれていた「雇用対策法改正」を受けて、労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の下に新たな部会が設けられた。雇用や労働政策に関わる新しい基本方針を定めるための「労働施策基本方針部会」で、9月5日に初回会合が開かれた。
関連法の改正により、雇用対策法は労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)へ名称が変更されている。
旧雇用対策法では、国の講ずべき労働施策を列挙し、それに基づいて職業安定法や雇用保険法など個別の法律を制定・改正してきた。今回の法改正により、「生産性の向上」が雇用・労働施策の目的に追加され、労働者保護施策の後退が懸念されている。
●経営側代表は歓迎
労働施策基本方針部会では、働き方改革実行計画などに規定されている項目を中心に、労働施策を策定する。この日、厚生労働省事務局が示した「労働施策基本方針(仮称)」骨子案には、長時間労働の是正や職場のハラスメント対策などのほか、労働者が能力を発揮するための重要事項として「労働条件の改善に向けた生産性の向上」も記載された。
使用者側代表の椋田哲史経団連専務理事は「働き方改革で労働生産性を上げていくのは非常に大きなこと。生産性向上の重要性についてもしっかり書き込んでいただきたい」と強調。一方、骨子案に「最低賃金・賃金引き上げに向けた環境整備」が含まれていることに対しては「各社とも経営状況が異なる中、労働施策の基本方針として最低賃金を含めるのは違和感がある」と注文を付けた。
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