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    期限迫る派遣延長の意見聴取/改正法施行から3年/みなし雇用規制の発動も

     改正労働者派遣法が9月末で施行3年を迎える。3年を超えて派遣労働者を受け入れようとする派遣先事業主は、自社の過半数労組に意見聴取を行わなければならない。意見聴取せずに延長すれば、その事業場の全ての派遣労働者を直接雇用したとみなす規定(みなし雇用規定)が適用される。派遣先労組にとっては雇用の安定を取り戻し、派遣労働者の処遇改善を訴える好機でもある。既に取り組みが始まっている。

     

    ●問われる労組の姿勢

     

     改正法は、事業場単位での派遣受け入れを原則3年とし、延長するには、期限の1カ月前までに過半数労組・代表に意見聴取を行うことを義務付けた。1カ月前までに行わないで延長すれば「みなし雇用規定」が適用される。

     意見聴取の際には、必要な情報提供や、延長する理由、対応方針の説明を行うとともに、労組が異議を唱えれば、さらに誠実に説明する義務が生じる。

     2015年の国会では、同法改正を巡り与野党が激しく対立した。最大3年という受け入れ上限の抜け穴を広げ「常用代替防止」の原則を崩そうとするとして野党が批判。政府は「労組のチェックを受けるから常用代替は起きない」と押し通したことは記憶に新しい。初の節目を迎え、派遣先労組の姿勢が問われることになる。

     連合は6月の中央執行委員会で対応方針を確認した。派遣先労組は「要員協議を実施し、確実に意見表明を行う」とし、派遣先労働者との均等・均衡待遇を原則とした働き方改革関連法を踏まえ、処遇改善に取り組むこととしている。

     

    ●再延長しないよう要求

     

     UAゼンセンは8月2日、この問題での対応方針を確認した。派遣労働者受け入れ時にルールを労働協約で定めることなどを示した対応指針(改正時に策定)を補強した。

     派遣先労組は、事業場の受け入れ期限の3~6カ月前に意見聴取に向けて、会社に「意向説明」を行うよう求める。その上で、1カ月前までには労組が「常用代替が生じていないかという観点で内容を確認」して意見を述べ、「やむをえず延長する場合は再延長がないよう対策を求める」としている。雇用の原則は無期、直接雇用であるとする労働政策(昨年大会で確認)を踏まえた内容だ。

     個人単位の受け入れ制限(3年)への関わりでは、期限の3カ月前までに、派遣元からの直接雇用依頼の有無を確認し、他の雇用安定措置(派遣元での無期雇用など)が確保されているかも確認する。直接雇用の依頼があり、新たな労働者の雇い入れや派遣労働者の受け入れを予定している場合、その人の雇い入れを求めるとした。

     電機連合は昨年、派遣労働者の権利保護のためのガイドラインを改定。近く、意見聴取のためのチェックリストを作成する。JAMは改正時に作成したチェックシートで、1カ月前までの意見聴取や書面通知、必要なデータが提供されているかなどの点検を呼びかけている。

     民放労連は、実際に準キー局労組が提出した意見書を基にひな形を作成し、活用を呼びかけている。15年10月か、それ以前から派遣労働者を受け入れている事業場については「常用代替防止を原則とする法の趣旨に適合しないため、18年10月1日から直接雇用を行うなどの是正を求める」。それ以降に受け入れた派遣労働者については、遅くとも3年後の21年までに直接雇用などの是正を求めるという内容だ。定期大会では当該組合からこのひな形の活用が提起された。

     派遣先労組が規制に関与できる数少ない規定を生かせるか。取り組みの交流、常用代替防止への社会的な機運醸成が求められる。