「日本のプルトニウム保有は、国際社会による核不拡散の努力を損ない、北朝鮮の非核化にも悪影響」――米オバマ政権で国務次官補として核拡散問題などを担当したトーマス・カントリーマン氏が8月2日、市民団体主催の院内集会で講演。日本の核燃料サイクル政策への懸念を表明した。
東京電力福島第1原発の事故後、プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)を燃料とするプルサーマル発電に対応できる原発の再稼働は4基にとどまっており、MOXを使った高速増殖炉もんじゅも2年前に廃炉が決定。7月31日には原子力委員会が、プルトニウムの削減を打ち出した。しかし使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを使う核燃料サイクル政策には変更がない。
トーマス氏は核燃料サイクルについて(1)多数の原発が稼働(2)ウラン資源は希少で高価(3)MOXのコストは安い――の3点が前提になっているとした上で「この前提はすべて間違っていることが証明された」と強調。米国ではコストに見合わないからと、オバマ政権時代にMOX工場閉鎖が決められ、現政権にも引き継がれていると説明した。
プルトニウムは核兵器に転用でき、日本が持つ47トンは核弾頭数千発分に相当する。この点でトーマス氏は「プルトニウム保有が中国や北朝鮮からの批判を招く材料になっている」と指摘。「北朝鮮に対し〃われわれにも再処理をやらせろ〃という口実を与えることにもなる」と懸念を表明した。
〈写真〉カントリーマン氏は「プルトニウムはマイナスの経済効果しか生まない」と強調した(8月2日、都内で)
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