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    「被害の実相から脱原発を」/被爆73周年原水禁・福島大会/全国から640人が参加

     被爆73周年原水爆禁止世界大会・福島大会(主催=原水爆禁止日本国民会議などの実行委員会)が7月28日、福島市内で開かれ、640人が参加。東京電力福島第1原発の事故から7年が経った現在も、避難住民への支援打ち切りや放射性廃棄物処理など問題が山積していることを確認し、「被害の実相を共有し、全国の原発再稼働反対運動につなげていこう」とのアピールを採択した。

     東京電力は今年6月、福島第2原発の廃炉方針を明らかにした。これについて、大会であいさつした福島県平和フォーラムの角田政志代表は「運動の成果。脱原発への大きな一歩」と評価した。一方で、トリチウムを含む大量の汚染水の海洋放出処理が検討されていることに触れ、「放射性物質の放出は容認できない」と国と東電の姿勢を批判した。

     全体会では地元の訴えとして、元南相馬市長の桜井勝延氏が「事故後に1万人以上の市民が市外へ転出し、今も避難生活を続けている被災住民が7千人以上いる。厳しい状況は終わっていない」と報告した。同市では2年前に憲法についての冊子を全世帯に配布した。この取り組みについて桜井氏は「憲法25条の健康で文化的な生活が市民に保障されているとは思えない。そのことを考えてほしかった」と思いを述べた。

     

    〈写真〉大会副実行委員長の西尾漠氏は自然エネルギーの比率が高くなっていることなどに触れ「希望を持って、脱原発に進んでいこう」と訴えた

     

    〈分科会から〉汚染樹木を燃やし発電/住民から不安の声

     福島県田村市で検討されている木質バイオマス発電所の建設。分科会では、山林除染を名目に進められるこの計画が地元住民に新たな被ばく不安をもたらしている問題が取り上げられた。

     バイオマス発電は、木くずや間伐材などを燃料にする発電所。建設予定地の田村市大越(おおごえ)町で建設反対運動に取り組む「大越町の環境を守る会」の代表幹事・久住秀司氏は「事故後、福島の山は一度も除染されていない。ここから伐採した樹木を燃やせば放射能はどうなるのか。わずかでも放射線量が上がる可能性がある施設を町に持ってきてほしくない」と訴えた。

     自主避難者への住宅支援が昨年3月末に打ち切られたこともテーマになった。

     山形県米沢市の雇用促進住宅に避難していた8世帯が昨年9月、「不法占拠。住居を明け渡せ」と高齢・障害・求職者雇用支援機構から訴えられた問題では、被告とされた自主避難者が「私たちが被告になるいわれは何もない」と憤った。

     被告の一人、武田徹さんは「2012年に制定された原発事故子ども・被災者支援法は、住宅確保や生活再建の支援を定めたのに国はこれを守っていない。国連人権委員会も帰還政策が人権侵害だと勧告している」と支援打ち切りの不当さを訴えた。