連合東京は7月26日、都内で「働き方改革フォーラム」を開き、傘下の労働組合で行われている、育児・介護との両立支援や非正規労働者の処遇改善、勤務間インターバル規制の導入などについて先進的な取り組みを交流した。働き方改革関連法の成立を受け、法律を上回る社内ルールの確立とともに、新設された高度プロフェッショナル制度(高プロ制)への厳しい監視を呼びかけた。
岡田啓会長は働き方関連法について、「政治も経営者も労働者も、長時間労働を前提にした働き方を考え直そうというのが共通の認識。罰則付き残業上限規制は労働基準法制定以来75年で画期的だ。労使の真剣な議論と着実な実践で労基法以上の働くルールを」と呼びかけた。高プロ制の強行に悔しさをにじませ、「制度適用には労使委員会での5分の4の賛成と本人同意が必要。労組のチェック機能が求められる。万一安易に適用し、過労死・過労自死が起きれば労組の責任が厳しく問われることになる」と強調した。
●定昇と定年延長を実現
私鉄総連小田急労組は子育ての両立支援制度について報告した。同社では女性の深夜労働解禁を受け、2002年以降、乗務員など鉄道現業職への女性の採用を推進。経営トップが「多様な人材の活用」を発信する中、労組は女性組合員による会議開催や、組合役員への選出を進め、意見集約も行ってきた。
子育て中でも仕事を続けられるよう最長3歳の育児休業制度や、小学4年修了までの短時間勤務制などの整備、育児と両立できる専用の運行シフトの新設などの取り組みを紹介した。
食品スーパー最大手、ライフの労働組合(UAゼンセン)は、12年に組織化したパート労働者の処遇改善について報告した。組合が行った意識調査では、定期昇給制度を望む声が強く、14春闘から導入を要求。1年かけて協議し、正社員並みの仕事を担っているパート労働者の確保・定着のためにも改善が必要との認識で労使が一致し、実現したと振り返った。
今春闘では「パート労働者は60歳以降も仕事内容は全く変わらない」として定年延長の確約を得た。部門ごとのリーダーの手当新設や、店舗運営への意見を反映させるための「パート・店長座談会」の開催など、経営への意見反映にも役立てていると語った。
●組合はブレーキになれ
自動車部品などを製造する日立オートモティブシステムズの労組(電機連合、JAM)は長時間労働の是正、休息時間確保の取り組みを報告した。以前は3カ月450時間、年1200時間の残業を可能としていた36協定を、17年には上限の特別条項を月80時間、年360時間に短縮。グローバルに事業を展開する中、会社は外国人や女性の活用を進めており、組合が厳しく発言することで年間総実労働時間2千時間の達成を進めている。
勤務間インターバルについても14春闘で要求。深夜労働の改善にとどめようとする経営側に粘り強く要求し、17年から制度試行を開始した。現在は本格導入をめざし、勤務開始を遅らせた際の賃金保障などの検討状況を報告し、次のように語った。
「自動車は何があるから走れるか? それはブレーキだ。組合がブレーキとならなければ『働け働け』とばかりになり事故が起きる。労働組合の存在意義はそこにある」
〈写真〉連合東京の働き方改革フォーラムでは「法の先を行くことに労組の矜持(きょうじ)がある」と積極的な取り組みが呼びかけられた(7月26日、都内)
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