東京地評などでつくる東京春闘共闘会議は7月24日、都内で、地方最賃審議会の運用改善に関する学習会を開いた。日弁連貧困問題対策本部委員の中村和雄弁護士が講演し、審議の公開を訴えた。
中村弁護士は、かつて最賃で働く人の多くは主婦パートなど、家計補助型の非正規労働者だったと指摘。「非正規が家計を支える中心になった今も、男性正社員が主たる生計者のモデルのまま、最賃が決定されていることが問題だ」と分析した。
地域別最低賃金は(1)労働者の生計費(2)労働者の賃金(3)通常の事業の賃金支払い能力――の3点を考慮して定める仕組み。中小企業の支払い能力を理由に、低額に抑えられてきた傾向がある。「厚労省の中央最低賃金審議会が出すのは『目安』だけ。地方の審議会でしっかり議論すべきだが、金額は(ほぼ)目安を1円上回る程度だ」と批判した。中小企業支援の拡充のほか、最賃改定が地域や労働者に与える影響など、綿密な調査や資料を基に労使が実情に即して議論すべきと述べた。
鳥取県の地方最賃審が議論を全面公開し、審議会以外での交渉を排除したことを評価。「多様な意見を反映すべき。特に労働者側委員は、連合が独占し、正社員に偏っている。社会保障の専門家も入れるなど、委員構成を作り変える必要がある」と踏み込んだ。
地方の貧困対策と、人材流出による疲弊に歯止めをかけるためにも、拡大する地域間格差を解消する必要があると強調した。
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