「教職員の長時間労働の温床」「高度プロフェッショナル制度の先取り」とやゆされる給特法。公立学校教員に対し、原則として残業を認めず手当を払わない代わりに、月額4%の調整給を払う法律だ。日本教職員組合は7月23日、都内で中央委員会を開き、給特法廃止をはじめとする長時間労働の改善などについて討論した。
あいさつで岡島真砂樹委員長は教職員の長時間労働問題を最重要課題と位置づけた上で「学校現場の工夫や努力は既に限界。早く帰りましょうという声かけでは問題の解決に全くつながらない」と訴えた。業務削減、教職員定数改善、給特法の廃止・抜本的見直しを求め、文科省協議、国会対策などを一層強化すると述べた。
討論では、文科省協議の進捗状況、給特法を廃止した場合の超勤手当の支給や変形労働時間制の導入について、具体的な説明を求める意見や質問が集中した。
ある代議員は「教職員の多忙化に歯止めがかからない原因は給特法だ。組合がなんとかしてくれると信じながら、(残業時間が月80時間以上の)過労死ラインを超えて働いている組合員にどう説明するのか」と問いかけた。
執行部は長時間労働の解消にとって(1)業務削減(2)教員定数の改善(3)実労働時間の正確な把握と長時間労働抑制の法整備――の三つが必要だと説明。拘束性のある業務を勤務として認めさせ、時間外労働の上限を設けた上で、サービス残業を禁止すべきと方向性を示した。
給特法が改正された場合の時間外・休日勤務手当の支給についても検討しているという。文科省は現在の勤務実態で残業代を試算した場合、国庫負担分だけで3千億円と公表したが、勤務時間の縮減と業務削減を前提とした試算をすべきだと強調。あらためて、給特法全廃に向けた単組での議論を呼び掛けた。
執行部は答弁で、教職員定数の抜本的な改善が必要としつつ、直近の対策としては(年度ごとの予算措置で非正規教職員を)加配で増員する方が有効とし、文科省に要請していることを明らかにした。
●安倍政権を厳しく批判
「実効性ある長時間労働是正を求め、組織拡大・強化をすすめる特別決議」と「日本国憲法の理念実現をめざすたたかいにむけた特別決議」を承認。後者では、「憲法を遵守せず、民主主義を愚弄し続けている安倍政権を断じて容認することはできない」と厳しく批判している。平和と民主教育を確実に引き継ぐため、改憲勢力を少数に追い込むことが重要とし、日本民主教育政治連盟参院候補予定者の水岡俊一氏(立憲民主党)の勝利を訴えた。
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