経済産業省が旗振り役となって環境整備を進めている「雇用によらない働き方」を考える集会が7月18日、都内で開かれた。労働問題に詳しい学者や弁護士らが、最低賃金や労災補償などの労働者保護を受けられない労働者を増やすことは「極めて危険」と警告。事業規制や、労働者としての保護が必要と強調した。日本労働弁護団と、ライドシェア導入阻止を訴える「交通の安全と労働を考える市民会議」の共催。
労働弁護団の棗一郎幹事長は「労働基準法や労災保険法上の『労働者』ではない人々を増やしていく方向性は極めて危険」と警告。インターネット上で指示を受けて配達や旅客運送を行う事業の働き手について、「指揮命令を受け、報酬を受けて働いている。この人たちを労働者ではないというのはおかしい」と述べ、近く立法・政策提言を行う予定だと語った。
インターネットを通じて仕事を受発注するクラウドソーシングについて、浜村彰法政大学教授は連合総研の調査結果から「交渉力の弱いワーカーが多く、年収は非常に低い。年間100万円未満が8割を超えている」と指摘。働く場所や時間の拘束も多く、「労働者概念を拡大し、労働者保護を適用する方向で検討すべき」と述べた。
技術革新を活用し、雇用や安全の責任を負わず、賃金・労働条件、契約の解除を発注側が一方的に決める、こうした働かせ方は「ギグ(一時的な)エコノミー」と否定的に呼ばれる。労働政策研究・研修機構の山崎憲主任調査員、国際運輸労連ロンドン本部の浦田誠内陸運輸部長、労働弁護団の菅俊治弁護士、市民会議の川上資人弁護士らが、今後国内でも広がりが予想されるギグエコノミーの問題点と対策を語った。
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