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    副業推進へ法制度論議始まる/厚生労働省/残業や労災の扱いが課題に

     副業・兼業の解禁を受けて、厚生労働省は関連法令を見直す検討を始めている。労使ともに反対・慎重姿勢を示す中、政府肝いりの政策を推し進めようとしている。7月17日には労働時間管理のあり方を見直す検討会を開いた。

     「働き方改革実行計画」を踏まえ、厚労省は昨年、副業・兼業推進の指針を策定。「モデル就業規則」内の副業・兼業の記述を原則禁止から原則自由に転換した。

     労働基準法の運用を定めた労働省通達(1948年)では、勤務先が複数ある場合、労働時間を通算し、1日8時間などの法定労働時間を超えると、使用者は時間外割増の支払い義務が生じる。長時間労働を抑制するための措置だが、副業・兼業推進のため、この通達を踏まえた労働時間管理と労働行政のあり方を見直すのが目的だ。

     検討会で山越敬一労働基準局長は「キャリア形成促進の観点から副業・兼業を促進する」とあいさつ。委員からは、「本業の定義は何か」という根本的な疑問や、増加傾向にあると経済産業省などが強調する「副業希望者」のうち、キャリア形成にあまり関係のない非正規雇用の仕事を複数掛け持ちする人の割合がどのぐらいなのかなど、政策の根拠について疑問が示された。

     複数の勤務先で働く人の雇用保険の扱いに関する検討会は1月に設置済み。一つの勤務先での就労が週20時間を超えないと雇用保険に加入できないといった現行規制の見直しを検討する。

     労災の扱いについても6月、労働政策審議会で審議が始まった。副業の際、低くなりがちな労災補償給付のあり方や、労災認定が難しくなるなどの問題を議論する。