日本労働弁護団は7月9日、不払い賃金などの請求権が2年で時効になっている問題について意見書を発表した。改正民法(2020年4月施行)に合わせて時効を5~10年に延長すべきと訴えている。
債権の消滅時効について従来の民法は「権利を行使することができる時から10年間」と規定。改正民法では「権利が行使できることを知ったときから5年間」という規定を追加した。それに伴い、1~3年と短い時効期間を定めていた規定(170条以下)を廃止することになった。
現行労働基準法は賃金などの請求権について、2年の時効期間を定めている。弁護団意見書は「改正民法で1~3年の短期消滅時効が廃止された以上、2年という賃金などの請求権を維持する合理的な理由はない」と指摘。改正法に合わせて5~10年に延長する労基法改正を求めている。
同弁護団によれば、残業代を請求する訴訟の場合、在職中に提訴する例は極めて困難で、退職後に請求する事例がほとんどだという。ところが消滅時効が2年だと、退職後に請求したいと思っても時効になってしまい、権利が行使しにくい。「使用者にとっては、2年の経過を待つことによって残業代などの支払い義務を安易に免れることができる現状は正さなければならない」と強調している。
●年休の扱いは…
年次有給休暇の扱いを改正民法に合わせる場合についても言及した。「1年間は繰り越せる」という、実務上定着した現在の考え方を後退させないことを前提に、当該年度内で完全消化できる施策を講じるよう提起。併せて、労基法に病気休暇制度を新設することを検討すべきとした。
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