日本と欧州連合(EU)が7月17日、日欧経済連携協定(EPA)に署名した。来年3月までの発効をめざすという。ワインやチーズが安くなるなどのメリットが強調される一方、日欧の労組や市民団体が「公共サービスの民営化に拍車がかかるのではないか」などの懸念を強めている。
欧州公務労連(EPSU)と、自治労などでつくる国際公務労連日本協議会(PSI―JC)は署名に先立って共同声明を発表した。特に公共サービスについて、既存の規制の変更を迫る「規制協力」条項や一層の自由化につながりかねない箇所に懸念を表明し、関連条文の削除などを求めている。
EUの政策執行機関である欧州委員会などは、必要な公共サービスは維持されると説明。しかし、EPSUは信用しておらず、条文全体の精査を求めている。郵便、鉄道、病院などの「公有企業」や教育機関、研究機関、中央・地方の独立行政法人、地方の公営企業などの扱いが公表されていないためだ。
ドイツの水道事業者の業界団体(ドイツ連邦エネルギー・水道事業連盟)は、日欧EPAについて「公共水道の自由化と水質低下の危険性がある」として、反対を表明している。
EPSUは欧州議会議員に対し「急いで承認するのではなく、公共サービスがどうなるのかを含めて協定内容を精査すべきだ」と訴えている。
〈写真〉官邸前で日欧EPA署名に抗議する行動が取り組まれた(7月17日)
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