神奈川労連と神奈川自治労連が今春から、労働組合のない小田原市役所で組合づくりのに力を入れている。職員アンケートでは、回収数は少ないものの回答者の8割が「組合はあった方が良い」と答えた。神奈川労連の山田浩文事務局長は「残業代不払いなどの違法状態を正し、民主的な職場をつくる上で組合がいかに必要かを広く訴えていく」と語っている。
●ジャンパー事件を機に
小田原市では昨年1月、生活保護ジャンパー事件が発覚し、大きな社会問題になった。複数の生活保護担当職員が2007年から、「保護なめんな」などとローマ字で書かれたそろいのジャンパーを着て保護世帯を訪問していた。現在、保護行政は改善され「市民に開かれた生活保護の実施」に向けた努力が重ねられているという。
事件発覚の際には、外部で「組合は何をしていたんだ」という声が上がった。同市役所には以前から組合が存在していないことが明らかになり、地元の労組関係者の間で組合づくりの必要性が議論されるようになっていた。
●疑問や悩みに答える
神奈川自治労連が職員を対象に行ったアンケートでは、組合の必要性のほか、残業代や人員体制、有給休暇取得、ハラスメント、退職金、賃金などについて聞いた。
73%が人員不足を指摘し、残業代が全額支払われている職員は67%。「有給休暇が取りにくい」と回答した職員は32%。自身のハラスメント被害も30%に達していた。
自由記入欄には「始業時刻の1時間以上前に出勤することが慣例化しており、問題がある」「年に3~5日しか年休が取れない。仕事量の割に給料が安い」「建物に耐震性がなく、常に不安だ」などの声が寄せられている。
神奈川労連と自治労連はこうした職員の声を紹介し、疑問や悩みに答えるリーフレットを配布。「組合には要求を前進させる力があります」と、組合結成と加入を呼びかけている。
山田事務局長は「神奈川県の西部地域には、小田原市以外にも組合のない自治体がある。今回の取り組みを機に、全ての自治体に組合をつくりたい」と抱負を語っている。
コメントをお書きください