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    生産性向上は労働政策の一環?/厚生労働省の労働政策基本部会/報告書骨子案を提示

     中長期的な労働政策を検討する労働政策審議会の労働政策基本部会がこのほど、報告書骨子案を提示した(表)。人工知能(AI)など技術革新の動向をにらみ、生産性向上を労働政策の中に位置付けた。時間・空間・企業に縛られない働き方の推進とそのための環境整備について、今後の道筋を示す。秋の労働政策審議会までに結論を出し、必要な審議を行っていく。

     同部会は昨夏発足。労使の関係者と有識者らで構成する。

     骨子案は技術革新への対応と併せて、生産性向上を労働政策の中に位置づけたのが特徴だ。労働者への教育訓練や、「転職が不利にならない労働市場の形成」、キャリアコンサルティング(職業能力や能力開発についての相談)の普及、成長分野への労働移動の促進など、企業にとっての人材育成、労働力活用の政策という色合いが濃い。

     フリーランスなど「雇用類似の働き方」では、保護のあり方やその必要性について専門的な検討に着手すべきとした。副業・兼業の際に労働時間を通算して時間外割増を義務付ける現行の規制方法や、労災補償の認定・給付の課題についても検討を進める。

     当初経営者などから多く出された、労働者保護規制の早急な見直しを求める意見は鳴りを潜めている。この日の会合では、連合特別専門委員の長谷川裕子委員が「雇用類似の働き方は、労働者保護だけでなく、年金や健康保険など社会保障も大きな論点。トータルで検討すべき」などと発言。連合総研理事長の古賀伸明委員は労働者の教育訓練について、国が手当てすべきだとし、他省庁とも連携した検討が必要と語った。