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    高プロ制に13の付帯決議/参院厚生労働委員会/法律の欠陥、浮き彫りに

     6月29日に成立した働き方改革関連法には47項目もの付帯決議がついた。焦点の高度プロフェッショナル制度(高プロ制)については13項目ある。制度の根幹に関わる指摘をはじめ、監督指導の徹底を求める記述が多くを占めるなど、皮肉にも法律の欠陥をあぶり出す内容となっている(表)。

     付帯決議の内訳は、労働時間関連が15、高プロ制が13、不合理な格差の禁止が6、裁量労働制が2、その他が11。集中的に審議された高プロ制が多くを占め、悪用の防止を強く危惧する内容となっている。

     高プロ制をめぐっては制度設計の根幹が曖昧なまま成立させられたという事情が付帯決議の内容に反映している。特徴的なのが「業務命令や指示を行ってはならないこと」「裁量を奪うような成果や業務量の要求や納期の設定を行ってはならないこと」を省令で定めるというもの。「自由に働ける」という触れ込みなのだから、本来なら法律の条文のど真ん中に書かれるべき項目だ。

     「対象業務を限定列挙する」「年収要件を労政審で真摯(しんし)に検討」とも。どんな人が対象になるかさえ不明なままの成立だったことが表れている。

     特に目を引くのが、「必要な監督指導を行うこと」「監督指導の徹底を」と、制度を危険視する内容の多さ。労働基準監督行政がパンクしそうな勢いである。

     付帯決議は与党と国民民主党などで策定された。立憲民主党などは加わっていない。

     

    ●手ごころを加えろ?

     

     決議には、監督指導の徹底とは逆に、労働行政機関の対応について、中小企業への「必要な配慮」を求める項目も入った。監督指導に手加減を求めているとも読める内容だ。自民党内の議論の反映とみられる。

     与党と維新が策定した衆議院の付帯決議では、高プロ制について「改正法施行後、速やかに実態把握を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずること」との一文を添えている。元々経済界が主張していた年収要件は400万円。

     先送りされた裁量労働制の適用拡大と併せて、高プロ制の適用要件の緩和が検討される可能性を指摘する声もある。