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    「決して諦めない」/過労死遺族ら/高プロ制成立を受け会見

     労働時間規制を全て外す高度プロフェッショナル制(高プロ制)を含む「働き方改革」関連法案が参院で成立した直後、過労死遺族らが会見を開いた。全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は「過労死等防止対策推進法とは真逆の法律の成立を目の当たりにするとは残念でならない」と悔しさをにじませるとともに、「決して諦めない」と警鐘を鳴らし続ける決意を語った。

     

    ●「これが日本の姿だ」

     

     会見には遺族らが黒い服装で臨んだ。「亡くなった家族と一緒にいるとの思いを込めた」と、小児科医の夫を亡くした中原のり子さん。NHK記者だった娘のジャケットを着て会見に出席した佐戸恵美子さんは「母の思いが届かず、無念でならない」と声を振り絞った。

     遺族らは通常国会の傍聴を続け、安倍晋三首相への面会を求めた。だが、願いはかなわず、法案は多くの不備と疑問を残したまま数の力で採決された。

     広告最大手「電通」入社後に過労自死に追い込まれた高橋まつりさんの母、幸美さんは「可決の瞬間、心の中で娘に話しかけていました。『まつり、これが日本の姿だ。あなたを追い詰めた日本の姿だ』。命を失うことの無念さ、残された家族の地獄の苦しみ、そのことを考えてほしい」。

     中原さんは「安倍首相は昨年2月に高橋幸美さんに『過労死をなくす』と約束したが、守れなかったということ。だから、私たち過労死家族の面会要請を拒否した」と、首相の冷たい姿勢に苦言を呈した。 

     管理職だった夫を亡くした渡辺しのぶさんは「まじめで責任感の強い人が過労死に追い込まれる。過労死の遺児をこれ以上増やしてはならない。高プロ制を廃止に追い込む活動をしていかなければならない」と語った。