文部科学省の中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」が6月20日に開かれ、労働安全衛生管理に関する議論をスタートさせた。この日のヒアリングでは教職員の健康と労務管理について、公益財団法人日本学校保健会の弓倉整専務理事が報告し「教職員定数の拡充が必要」と訴えた。
●養護教諭も複数配置を
同保健会は集団感染予防やアレルギー指導など学校保健全般について調査・研究を行っている団体。弓倉専務理事は、学校も労働安全衛生法に基づく管理が求められているものの、教職員数50人未満の学校が多く、衛生推進者の選任だけで、産業医は配置されていないと指摘した。学校では安衛法よりも古い学校保健安全法(旧学校保健法)の下、学校医が教職員の定期健康診断なども担っている。「産業医と学校医では役割が大きく異なる。二つの法律の整合性について検討が必要ではないか」と今後の議論を促した。
メンタルヘルスの課題も指摘した。公立学校教職員の精神疾患による休職者割合は、特別支援学校、小中学校の順で多く、復職できた人は38%にとどまり、18%が退職しているという。「安衛法のストレスチェックも50人未満の職場では努力義務にすぎず、実態を把握できていない。養護教諭が健康相談に応じているが、大きな負担。(養護教諭の)1人配置はリスクが高い」と述べた。
養護教諭については(1)研修体制の見直し(2)労働安全衛生に対する研修の充実(3)複数配置基準の引き下げ――を課題に挙げた。教職員の本来業務が増加する中、抜本的な解決には教職員定数の拡充が必要と強調した。
休憩時間の確保について問われると、「休憩時間は働き方改革そのもの。きちんとした体制を作っていただきたい」と要望した。
部会委員の相原康伸連合事務局長は「学校の職場管理は企業に比べて数十年単位で遅れている。教職員定数の改善はハードルが高いが、あらゆる手段を使って職場を変えなければならない」と発言した。
●定数より運営を改善?
4月以降に議論された「学校の組織運営体制の在り方」については議論の整理が報告され、教職員の職場環境を整えるために、校長ら管理職が労働時間管理を含めたマネジメントを行うことが不可欠とした。その上で、校長らを補助する主幹教諭の活用やサポートスタッフの拡充が盛り込まれた。教職員の定数改善を求める意見は記述されていない。
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