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    新入社員にも適用可能?/高プロ制で政府答弁/参院厚生労働委員会の質疑

     参議院厚生労働委員会で6月12日、働き方関連法案の質疑が行われ、労働時間規制を外す高度プロフェッショナル制度(高プロ制)について、新たな問題点が浮上するとともに、ヒアリング調査のずさんな実態が明らかになった。

     

    ●在職年数の要件なし?

     

     国民民主党の足立信也議員は「高プロ制の対象になる『高度な専門職』の内容はこれから省令で決めるというが、法律が施行されたら、来年の(新卒)採用から適用できるのか」と質問。山越敬一労働基準局長は、対象労働者に在職年数の規定がないことを挙げ「採用時から適用が可能」と答弁した。

     高プロ制は「交渉力のある専門職が対象」というのが従来の政府の説明だったが、経験のない新入社員にも高プロ制が適用される可能性を否定しなかった。

     

    ●ニーズはたった1人?

     

     加藤勝信厚生労働大臣は高プロ制の必要性について、12人の労働者に行ったヒアリング内容を根拠に挙げていた。この日、社民党の福島瑞穂議員の質疑に対する答弁の中で、働き方改革関連法案の前身となる法案の提出前に聴取したのは専門職たった1人だったことが分かった。

     聞き取りした企業は5社だけで、12人のうち9人は会社の人事担当者が同席していたことも明らかになった。人事担当者が横にいれば、正直な答えはしにくいと考えられる。

     福島議員は「手抜きではないか。これでどうして、みんなの声を聞いたと言えるのか。愚弄(ぐろう)するのもいいかげんにしてほしい」と憤り、加藤大臣を強く批判した。