『不当要求・クレーマー撃退のポイント50』などの著書のある深沢直之弁護士が5月25日、UAゼンセン流通部門の労使研究会に招かれて講演した。
繊維、化学、流通、サービス、食品の労組でつくる同労組は昨年、組合員を対象に「悪質クレーム(迷惑行為)」についての実態調査を行い、7割が被害に遭っているという結果を発表した。厚生労働省のパワハラ防止委員会へ報告し、「クレームハラスメント」に対する保護措置を求める活動を続けている。
深沢氏の講演要旨を紹介する。
●組織的対応が鍵
アンケート結果を見ると、クレームの悪質さに驚く。「お客さま至上主義」から脱皮し、毅然(きぜん)と対応しよう。アンケートでは、クレーム対策として「組織的対応」を望む回答が最多となっている。担当者一人ではなく、組織的に対応することが非常に大事だ。対応が長引く場合は担当者を変え、上司が迅速に指示を出すこと。そうした職場づくりをしてほしい。
恐怖心を感じるときは、積極的に警察や弁護士に相談を。報復を恐れて「穏便に済まそう」という傾向があるが、私の経験では、警察や弁護士が介入した後で「(報復の)お礼参り」は一件もなかった。
●ブラックリスト作成を
予防もできる。日頃から「わが社は悪質クレーマーを許さない」という姿勢を前面に出しておくことだ。「こういった行為はハラスメント」とポスターなどを店舗内に掲示しておくのも有効。そうすれば「土下座謝罪しろ。応じないと社長に言うぞ」と脅迫するクレーマーを「失礼な要求に応じないのはわが社の方針」と拒否できる。
将来的には、業界で悪質クレーマーの情報共有システムをつくるといいのではないか。クレーマー情報は、個人情報保護法で守られるべき「保有個人データ」に該当せず、違法性はない。
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