世界の人権侵害について調査・監視を行っている国連人権専門家が5月24日、日本の生活保護削減(10月実施予定)について見直しを求め、政府に対し警告を行った。「(削減は)貧困層が尊厳を持って生きる権利を踏みにじるもの」と厳しく批判している。
今回、政府に見直しを求めたのは、フィリップ・オルストン氏ら4人。人権専門家は政府から独立し、個人の資格で務めるエキスパートだ。国連人権理事会に報告を行う権限があり、「人種差別」「極度の貧困」など36以上のテーマで作業を行っている。
政府は昨年12月、生活保護基準を今後3年間で最大5%削減することを決定。今年10月から実施する予定である。
●国際人権法上も問題
人権専門家はこう指摘している。
「日本は緊縮政策が必要な時においても、差別を撤廃し、全ての人に基本的な社会的保護を保障する必要がある。貧困層の人権への影響を慎重に考慮せずに採択された、このような緊縮政策(生活保護削減方針)は日本の負っている国際的義務に違反している」
専門家は、今回の削減の根拠とされた調査方法(年収を10段階に分けて、最も低い所得層の消費支出の状況に応じて保護基準を引き下げる方式)についても疑問を呈した。「この基準に基づいて決定される最低生活水準は、国際人権法で要求される適切な生活水準と合致しない。このような欠陥のある方式に基づく受給額減額によって、日本はますます多くの人を貧困に陥れることになる」
最も被害を受けるのは障害者だと指摘し、「障害者が地域社会で自立して生存する平等の権利を奪うものだ」と批判した。
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