中長期的な労働政策を検討するとして昨夏スタートした労働政策審議会労働政策基本部会が5月22日開かれ、「時間・空間・企業にとらわれない働き方」について、今後の議論の「たたき台案」が厚生労働省から示された。テレワークの普及促進や、副業・兼業を後押しする環境整備、雇用類似の働き方への保護の必要性の検討などが盛り込まれている。
たたき台案は、自宅などで働くテレワークの「普及促進と就業環境整備を図ることが重要」と記載。副業・兼業については「希望する労働者が主体的にキャリア形成できる環境整備が重要」「オープンイノベーション(外部からの技術やアイデアを取り込み新たな製品やサービスを開発する手法)や競争力の向上につながるという価値観を社会で共有できるように広めていくべき」と、前のめりの書きぶりとなっている。
焦点の「雇用類似の働き方」に関しては、労働行政による必要な施策の実行を求めているほか、保護の必要性の検討などを示している。
審議では、長谷川裕子・連合特別専門委員が「基本的姿勢として雇用労働者を守ることを明確にしつつ、さまざまな形態で働く(雇用類似の)就労者に法的保護を図る姿勢を打ち出すべき」と主張。併せて、インターネットを介して業務を受発注するクラウドソーシングの働き手について、労組法上の救済が図られるための措置が必要と訴えた。
岩村正彦東京大学大学院教授は副業・兼業に関するたたき台案の記述を「当部会のこれまでの懸念をわい小化している」と厳しく批判。雇用類似の働き方については、ライドシェアなど、シェアリングエコノミーへの規制が世界で強まっていることを踏まえた検討が必要と語った。
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