「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    「平和といのちと人権を!」/5・3憲法集会に6万人

      「9条改憲NO!平和といのちと人権を!5・3憲法集会」が東京の有明防災公園で開かれた。戦争をさせない1000人委員会や憲法共同センターなどでつくる実行委員会が主催。約6万人(主催者発表)が参加した。集会では、3千万署名が1350万筆集まったことも報告された。ステージ上での訴え(要旨)を紹介する。

     

    ●抵抗者として/清末愛砂室蘭工業大学大学院准教授

     

     改憲は国際情勢に緊張をもたらしかねない危険なもの。「憲法番外地」と呼ばれる沖縄や、イスラエルの弾圧に抗議を続けるパレスチナの人々の闘いに学ぼう。人は生まれながらに抵抗者なのではなく、状況が抵抗者を生むのだ。

     

    ●若者に平和訴えよう/竹信三恵子和光大学教授

     

     若者には戦争の記憶が断ち切られている。しかし、戦争になれば(予算上)奨学金制度も危うくなる。戦争をしない国は若者の負担も少ない。そうした伝え方で平和を訴えよう。

     

    ●弾圧で負傷者も/山城博治沖縄平和運動センター議長

     

     朝鮮半島で南北首脳会談が行われた歴史的な日、辺野古での米軍基地建設に反対する運動は弾圧され、骨折する負傷者や逮捕者が出た。これからもねばり強く反対を続ける。今こそ立ち上がろう。

     

    ●自由と尊厳のために/諏訪原健さん(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)

     

     私の祖父は、毎年12月8日、「今日は戦争が始まった日だ」と電話をかけてきた。祖父は悲劇を繰り返してはいけないと思っていたのだろう。「公の秩序」を自由と尊厳より重視する改憲草案に反対するため、路上に立ち続ける。

    発言者を含め各種写真あります。

     

    ●憲法改ざんを許すな

     

     舞台横で「日本聖公会」の旗を持っていた女性は「多様性を認めるキリスト教の宗派です。イエスは命の大切さを教えてくれました。命を奪う戦争は駄目と訴えています。最近では、3千万署名に応じてくれる信者の方も増えているんですよ」と語った。

     千葉県の九十九里浜でメロンとトマトをつくっている農家の松村賢一さん。憲法施行の年に生まれて現在70歳だ。「毎年、仲間と来ている。政府は『憲法改正』って言うけど、やろうとしているのは今より悪くすること。改ざんではないか。マスコミも改ざんと書くべきだ」

     

    ●戦争施設はいらない

     

     芝生に座り込んでおしゃべりしていたグループは「沖縄民権の会」のメンバーたち。代表の座覇光子さんは「辺野古につくろうとしている新基地は戦争のために使われる施設。戦争で相手国の労働者を殺してはいけない。この動きを今とめなければ」。安倍首相について言いたいことを尋ねると、「韓国のようにみんなの力でこんな政府を倒しましょう」と答えた。

     「東京外国語大学9条の会」の涌井秀新さんは「卒業生を中心に百人くらいの会。改憲反対などの抵抗運動だけでなく、憲法内容の実現を目指す運動が必要だ。町内会や自治会を親睦会にとどめず、住民自治を担う組織にしていく取り組みを訴えたい。今度、そういう趣旨の本を出す」

     

    ●日常の運動が大事

     

     会場内で「首相を替えろ」のプラカードを掲げてスタンディングしていたのは、神奈川土建川崎支部の組合員たち。「建設産業っていうのは、平和でなければ成り立たない。普段から駅頭などで訴えています」という。

     西東京バス労組(私鉄総連)の参加者は「毎年来ている。春闘以外のこういう取り組みは難しい面もあるけど、平和センターに結集し、学習会をやったりしている。日常的な運動が大事」と語った。

     なのはなユニオン(全国ユニオン)の鴨桃代委員長は「自分自身の困りごとを抱えてユニオンに加入する人たちは、必ずしも憲法や政治に関心があるわけじゃない。いろんな考えの人がいます。(護憲など)私たちが当たり前と思うことを前提とせず、自由に議論し話し合える場や雰囲気をつくることが大事ですね」