連合などの実行委員会は4月28日、東京・代々木公園で中央メーデー大会を開催し、組合員ら4万人(主催者発表)が参加した。神津里季生会長は、政権に絡んだ不祥事で国会が空転する現状を「民主主義の危機」と憂慮。働き方改革法案については、高度プロフェッショナル制度(高プロ制)を削除した野党提出法案の国会審議を求めた。
神津会長は、政権が疑惑の解明を拒み空転が続く国会の混乱に触れ、「国民の真実を知る権利がないがしろにされ、国民のための法改正も進まない。民主主義の危機と言わざるを得ない。国会の立て直しが必要」と強調。その上で、民進、希望による新党結成の動きを歓迎し、「二大政党的運営の実現まで応援団として粘り強く取り組まなければならない」と語った。
連合東京の岡田啓会長は同法案の審議について「野党の国会議員の皆さん、ぜひやってください」と要請。同時に「高プロ制が導入されそうなら、(労働組合が)みんなで『やめろ』と言いに行こうではないか」と訴えた。
式典には、加藤勝信厚生労働相、小池百合子東京都知事が出席。政党からのあいさつは行われなかった。
〈会場から〉残業代ゼロは駄目
○…情報労連東京協議会の女性。「(高プロ制をどう思うかの問いに)ホワイトカラーエグゼンプションですよね。経団連は年収400万円以上に適用って言ってたでしょ。残業代がなくなったら生活できない。困る。今はやっただけ払われていて、収入に占める割合は結構ある」。安倍首相については「働いている者の気持ちが分かっていない。ぼんぼんだからね」
○…JEC連合石油開発労組の男性役員。「高プロ制は(残業代が付かず時間に制約がない)管理職みたいに働けってこと」と指摘した上で、「まとまった手当をもらって、なおかつ11時間の勤務間インターバルを条件にして働かせ過ぎに歯止めがかかるならいいかも。条件付き賛成です」
○…日教組の男性。「教員は昔作られた制度(給特法)のせいで長時間労働が横行している。まず制度の見直しが必要。『長く働くのがいいこと』という社会の風潮を変えないと」。安倍政権については「往生際が悪い。子どもに『うそをついたらいけません』と教えなければならないのに、公文書改ざんなどで大人が率先してうそをついているのが政府の現状だ」
○…JAM加盟のNOKグループユニオンの男性。JAMは今年、中小企業の製品と労働の価値を認め合う社会の実現を訴え、初めてデモを行って中央メーデーに参加した。「盛り上がった。来年もあれば参加したい。うちは中堅なので下請け法の対象から外れる。適正な取引価格が守られるようにしたい。(働き方改革法案については)人の命に関わる問題を一括で通そうとしていることが許せない」
○…生命保険大手労組の男性。「裁量労働制適用者には、データを基に労働時間削減に向けた業務の見直しなど、組合がチェック機能を果たすよう努めている。歩合給で稼ぎたい営業職もいる。長時間労働につながりやすいというだけで、裁量労働制そのものを否定するのはどうか」
○…退職者連合の男性。 「閣僚は世襲ばかりで、自分たちの権力を強めることしか考えていない。安倍さんもおじいさんの夢だった改憲をしたいというばかりで、国民のことを考えている気がしない。とんでもないと思うよ」
〈写真〉神津里季生連合会長
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