「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    全国一律で平均賃金の60%に/全労連が最賃シンポ/三上元・前湖西市長が参加

     時給で最大221円もの地域間格差がある地域別最低賃金の現状を是正するため全国一律最賃制を実現しようと、全労連は4月21日、都内でシンポジウムを開いた。静岡県湖西市の三上元(はじめ)・前市長が参加し、平均賃金の60%の水準に引き上げるべきと主張した。

     三上前市長は、東京の最賃と全国最低額の比率が2006年度に84%だったのが、今は77%にも広がったと指摘。最賃が高い、隣県の愛知に働き手が流れる市の実情を語った。

     さらに、日本の最賃は先進諸国の中で米国と並び最も低い水準であると指摘。日本の母子家庭の就業率が経済協力開発機構(OECD)加盟諸国中最も高いのに、日本の一人親世帯の貧困率がOECDの中で最も高い現状を憂えた。

     そのうえで、まずは最賃をOECD並みに平均賃金の48%に引き上げ、フランスのように60%をめざすべきと主張した。

     秋田県労連の越後屋建一事務局長は県内8割の地方議会で最賃引き上げの意見書を採択させた取り組みを報告。医労連の米沢哲中執委員が、同じ国家資格で働きながら初任給格差が9万円にも上る看護師について、特定最賃新設の運動を紹介した。

     会合では、最賃法改正を見据えた全国最賃アクションプラン「要求の柱(素案)」が示された。全国一律制創設、平均賃金(年収ベース)の60%の下限設定、中小企業への特別の時限的財政措置などを盛り込む。夏の大会で提案する。

     

    〈写真〉三上元・前湖西市長は現在、経営コンサルタントを務める。西友労組の役員経験もある。