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    インタビュー/中朝脅威論なんてうそ(下)/小林節慶応大学名誉教授

     Q 首相らは、北朝鮮や中国の脅威に対処するために改憲が必要と言っていました。しかし、最近は米朝対話に向けた動きが進んでいます。こうした状況をどう見ますか?

     

     北朝鮮の核ミサイルをどう見るか、です。開発の目的は日本への攻撃ではなく、現体制の維持に向けたアピールでしょう。

     米国はこれまでも他国に攻め入り、または反政府勢力を支援して、イラクのフセイン、リビアのカダフィをやっつけました。金正恩労働党委員長は、そうした米国から身を守るために核武装しているのです。

     

    ●経済的に密接な日米中

     

     米国に攻撃されても反撃できるよう影武者を置いたり、複数の住宅やベンツを保有したり、地下トンネルを掘ったりしているといわれます。ピンポイントでせん滅させることなんてできない。米朝はお互いに攻撃しにくいのが現状です。

     日本にとっては、北朝鮮は放っておけば何ら脅威ではありません。にもかかわらず首相らは「圧力をかけろ」と騒ぐばかりです。

     中国はどうでしょうか。仮に日本の領土である尖閣諸島に攻めてくれば、明らかな侵略行為ですから、国連安保理が動くし、日米安保条約も発動することになります。

     そんなことが想定されるのに、中国が攻めてくるなんていうのは冗談の類いでしょう。日米中は経済的にも密接な関係にあり、戦争なんてできません。ですから、中国は放っておけばいいんですよ。

     

    ●米国追随は破滅への道

     

     安倍さんは、日本を守るために米国と仲良くすべきと言っています。こんなものはうそですよ。

     米国はイスラム教の国々で人々を殺りくしています。背景には宗教の違いがあり、キリスト教徒の国々の指導者は「アッラーの神を信じている者は悪魔の手先だ」くらいに思っているから、人が殺せるのでしょう。

     その米国はあっちこっちで戦争し、足が抜けなくなっているのが現状です。そんな国と一緒に外国に出て行って戦えばどうなるか、です。米国とともに戦ったフランス、スペイン、英国はテロの標的にされました。

     いくら後方支援だといっても、イスラム教の国々を敵に回して恨みを買うことになります。せっかく「日本は憲法9条がある、感じのいい国」となっているのに、米国の二軍となって戦うなど愚かなことです。

     米国の二軍でいる限り、武器を買わされ、経済破綻を招くだけでしょう。

     中朝脅威論に基づく9条改憲は政策的に間違いであり、経済的に破綻をもたらす道で、二重に間違っています。専守防衛に徹することこそ、安全で安価な道なのだと言いたい。