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    時の問題/働き手守る対策が急務/雇用類似の働き方/労働者保護の破壊に警戒を

     自営業者としての契約で働くフリーランスや、クラウドソーシング(インターネットを介した仕事の受発注)の働き手など「雇用類似の働き方」について、厚生労働省の検討会がこのほど、報告書をまとめました。働き手を保護する法整備が必要かどうかの検討や、実態把握、外国の制度の研究が必要としています。議論は労働政策審議会労働政策基本部会に舞台を移します。働き手の保護が急務である一方、既存の労働者保護規制を掘り崩す動きには警戒が必要です。

     検討会は政府の働き方改革実行計画の一環。昨年末に副業・兼業の解禁や非雇用型テレワークのガイドラインを示した「柔軟な働き方に関する検討会」とセットで開設されました。

     報告書は、自営業者の契約で働く「雇用類似の働き方」について、経済法規制で保護するのか、労働法規制を参考にするのか議論が必要と記載。検討項目に、契約条件の明示、契約の履行確保、報酬額の適正化、職業訓練、出産・育児・介護との両立を図る政策、セクハラの防止、労災、紛争時の相談窓口の整備――などを挙げています。

     「雇用類似の働き方」は多くの場合、最低賃金などの労働者保護規制を受けられません。社会保険や雇用保険の対象外で、労災保障の適用も限定的です。労働者と同様の働き方をする人への保護規制は急務ですが、報告書は、保護の必要の有無から議論すべきと述べるなど、方向性は極めて曖昧です。

     

    ●言いたい放題の議論

     

     今後は労働政策基本部会で議論します。同部会は自民党が打ちあげた「労政審改革」の一環でできた機関。中長期的視点で労働政策を検討するとして、公労使による三者構成が崩されています。

     同部会では、一部の学者や弁護士、経営者が極端な規制緩和を主張するなど、まともな議論が行われているとはいえません。ある弁護士の委員は、手厚い保護を受ける年収1億円の雇用労働者と、最賃水準で受注する個人請負の働き手という極端な比較を行い、現行の労働者保護規制が不公平になるかのような発言をしていました。同委員の主張から判断すると、個人請負に労働者保護規制を適用するのではなく、規制の大幅な緩和に狙いがあることは明らかです。

     彼らがよりどころとするのが、厚生労働省が一昨年まとめた「『働き方の未来』2035」という文書。35年には「個人事業主と従業員との境がますます曖昧になる」などと述べ、労働者が労働法で保護されない雇用社会の到来を前提としています。

     働き手の保護を進めるとともに、労働者保護規制のなし崩し的な破壊に警戒が必要です。