銀行に人材紹介業務を認める金融庁の監督指針一部見直しの動きについて、連合がこのほど意見書を提出した。優越的地位を利用し融資先に人員の受け入れや人員削減を迫る行為などが生じないよう、労働者保護に必要な対応を求めている。
金融庁は銀行の兼業禁止規定に抵触しない「その他の付随業務」について、人材紹介業務を加える。2月にパブリックコメントを募集していた。
連合は、銀行が融資による影響力を背景に、融資先に人材の受け入れを迫ったり、人員削減を求めたりすることを懸念。こうした行為は、独占禁止法が禁じる優越的地位の乱用になることを監督指針に明示すべきと主張している。個人の貸付先に対し強制的に職業のあっせんを行うことも、優越的地位の乱用として指針に加えるよう指摘した。
その上で、銀行業の本業に比べて過大にならないかを確認する体制の整備や、職業安定法違反が判明した場合には厚生労働省や都道府県労働局と連携して対応すべきとしている。
●「付帯決議を守れ」
職業紹介事業は2003年の職業安定法改正まで、料理店や飲食店、質屋、貸金業者などによる兼業が禁止されていた。労働者の生活に密接に関わる者による兼業は、中間搾取や強制労働、人身売買などの悪弊が生じやすいとの国際労働機関(ILO)の条約第42号勧告に基づく措置だった。
しかし、02年に同勧告が撤回されたことに伴い、職安法改正で兼業禁止規定を削除。当時の国会では弊害を懸念し「許可基準で厳正な対応」を求める付帯決議が確認されている。
連合はこうした経過を踏まえ、監督指導体制の強化を求めている。
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