米ウェストバージニア(WV)州の公務員労働者が3月6日、5%の賃上げを勝ち取った。教員組合が約30年ぶりにストライキを打ち、生徒や親、民間労働者に支援が広がるなかで、保守的な知事と議会に態度を変えさせた。公務員のストが禁じられているWV州での勝利は画期的だと注目されている。
発端は健康保険料の引き上げ提案だった。ただでさえ低い賃金がさらに目減りしてしまう、と反発が強まった。全米50州のうちWV州で働く教員の賃金水準は46番目で、男性教員は「子どもが好きだからこの仕事をしているが、給料日前の1週間は手元に8ドルしかない」と訴えていた。
組合は健康保険制度の充実と賃上げ、教育予算の拡充を求め州議会が開かれている2月22、23の両日にストを設定。翌週以降も継続した(平日で計9日間)。
スト中も、必要な生徒は教会やフードバンクで預かり、学校で温かい食事を提供した。雪が舞う中で親がピケットラインを見守るなど「共闘」が広がったことも大きいという。
●生徒と親もスト支持
親たちがストを支持したのは、質が低下する一方の教育をなんとかしたいと願っていたからだ。州全体で700人が欠員状態で、教員が急病になっても代わりがいない。選択科目にも対応できない。州境の学校では、賃金が年1万ドル(約106万円)以上高い隣接州に移る教員が後を絶たない状態が続いている。
州当局は「違法スト」に対し裁判所に差し止めを求めることも検討したが、支援の広がりを前に断念。処分もできなかった。組合役員の1人は「処分したければすればいい。欠員状態がよりひどくなるだけだ」と話し、ストには大義があると訴えていた。
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