主要労組の賃金交渉が後半戦に入っている。金属労協(JCM)と自動車総連、JAMの要求状況をまとめた。
●賃上げ平均3812円/金属労協が要求集計
金属労協は3月1日、春闘の要求状況を公表した。2月末までに要求した2120組合の賃金改善要求の平均は3812円。規模別では中小の要求額が3900円と高くなっている。
浅沼弘一事務局長は交渉状況について、技術革新に伴う産業の変化への不安が示されていると述べつつ、「(賃上げによる経済の好循環実現という)社会的責任については(労使の認識が)共有化できているのではないか」と語った。
中小の要求は、昨年同時期の集約と比べ若干高い。JAMが6千円を要求基準としていることに加え、今年は自動車総連の中小の要求額が増えている。
同事務局長は「底上げ底支えを言い続けてきたことが浸透しているのではないか。人手不足が年を追うごとに厳しくなっている」と述べ、底上げへの期待を語った。
●約5割が大手超え要求/自動車総連
自動車総連が3月1日発表した要求状況の集計によると、完成車メーカーの要求額である「3000円」を超えた組合が半数近くに上った。底上げにこだわった結果との認識を示している。
3001円以上を要求した組合は473組合で全体の47・6%に上る。昨年の最終集計(41・7%)を超える勢いだ。
自動車総連は2016春闘から底上げを重視。完成車メーカー労組を超える要求を中小労組に促してきた。この要求状況については「底上げ・格差是正を何としても進めるとした自動車総連全体の意思が強く表れている」と受け止めている。
同日までに約9割の組合が要求を提出。993組合の賃金改善要求の単純平均は3410円で、昨年の最終集計を上回る見込み。300人未満の中小は3442円となっている。
●過去3年で最も高い要求/JAM
中堅中小の金属関係労組でつくるJAMは3月1日、2月26日現在の要求状況をまとめた。ベアなど賃金改善要求の平均は4878円。6千円を要求基準とした直近3年間で最も高い要求となった。「大手労組を凌駕(りょうが)する取り組みを推進する」と意気込む。
規模別では、100人未満(202組合)のベア・改善分が5066円と最も高い。中小の賃金格差是正が強く認識された結果だという。300人未満では4889円。
754組合の定期昇給相当分を含む要求の単純平均は8928円で、昨年の同一組合比較で229円のプラスとなっている。
企業業績の好転、深刻な人手不足という追い風に加え、約20年間で開いた、大手との賃金格差の是正への組合員の期待の高まりが指摘される。
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