労働法学者や弁護士、労組活動家らが、「働き方改革の嘘(うそ)」と題したシンポジウムを2月23日、東京で開いた。政府与党が欧州並みの賃金格差是正をめざすとした「同一労働同一賃金」関連法案について、厳しい意見が相次いだ。かえせ☆生活時間プロジェクト、労務供給の多様化研究会など3団体の主催。
政府が今国会で成立をめざす働き方改革関連法案では、不合理な労働条件を禁じる労働契約法第20条がパート労働法に移される。有期雇用労働者が不合理な格差の是正を求めて裁判を起こすよりどころとなっている条文だ。この影響について、沼田雅之法政大学教授は、不合理な格差の比較対象が正社員に限定され、救済が狭められる懸念を表明した。
同法案では、現行パート法の「均衡を考慮しつつ…職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し」て決める(第10条)という努力義務規定は残される。
沼田教授は、政府与党が当初、〃賃金格差を欧州並み(7~9割)に是正〃すると触れ込みながらパート法の均衡処遇規定を維持したことに言及し、「格差はなくならない。うそと言わざるを得ない」。併せて、パート法の差別禁止規定が職務のほか、転勤の可能性の有無など「配置の変更の範囲」が同じであることを必要条件としていることに疑問を投げかけた。
中野麻美弁護士も「この規定で格差が解消できるというのはうそ。なぜならこの規定が格差を大きくしてきたからだ」と指摘。
浅倉むつ子・早稲田大学教授は「『同一労働格差賃金』と言うべき。『同一労働同一賃金』とは言わない方がいい」と語った。
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