全教と民主教育研究所は2月19日、都内で国際シンポジウムを開いた。米国の教員組合が、草の根の運動で公教育の民営化拡大を阻止した闘いを紹介した。
●組合民主化とセットで
「公教育を守る闘いは、労働組合を自分たちの手に取り戻すことから始まった」と、米国マサチューセッツ教員組合のバーバラ・マデローニ委員長は語った。
米国では90年代以降、公立学校に代わって公教育の民営化ともいわれる、行政認可型のチャータースクールが増加。企業と行政のゆ着や、白人中心の教員採用、生徒の学力と連動した教員評価などの問題が指摘されている。「ところが、組合指導部は政治家や使用者と協力し、組合員と直接話し合うこともなく、人種差別や正義のための闘いを行わなかった」
マデローニさんはシカゴ教員組合の取り組みに学び、日本でも注目されているNPOレイバー・ノーツのリーダー養成プログラムを採り入れて、草の根の運動を展開。執行部提案をただ受け入れるのではなく、職場の組合員自らが問題を分析し、解決する取り組みを進めた。時給15ドル(約1600円)を目指す運動や、地域の問題など、広範な社会正義の活動も行うようになった。
チャータースクールの学校数制限をめぐる2016年の州民投票では撤廃反対運動を行い、拡大阻止に成功。「民営化計画は労働者への攻撃。組合員が教育者として自分たちの問題を語り、他組織もこの運動に参加してくれた」と振り返る。
現在は1人のリーダーが20人の組合員とつながりを持ち、1年で4回対話する計画を立て、組織強化を図っている。マデローニさんは「組合員の想像力と正義感を強化する。公立学校への攻撃を跳ね返す闘いはより良い世界を目指す闘いの一部だ」と語った。
イタリア労働総同盟教員組合国際担当のクラウディオ・フランキさんは、公務員バッシングの中で進められる予算削減、賃金カットに抵抗し、40万人の組合員がゼネラルストライキも辞さずに闘っていると報告。
ポルトガル全国教員組合連合のマヌエラ・メンドーサさんは、欧州連合の緊縮政策による予算削減を受け、小規模労組と共同で10万人規模のストライキを成功させた事例を紹介した。
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