パート労働者の通勤手当を正社員の半額(月5千円)にしていた処遇が労働契約法20条(不合理な格差の禁止)に反するかどうかが争われた裁判で、福岡地裁小倉支部は同法違反を認め、会社に計112万円の賠償金支払いを命じた。判決は2月1日付。
訴えていたのは、九水運輸商事(北九州市)で働く4人のパート労働者。いずれも自治労全国一般福岡地本北九州支部の組合員だ。業務は卸売市場での荷役、魚の下処理、配送などで、原告は正社員との間で仕事の差はほぼないと主張していた。
判決は、パートと正社員の間で通勤手当に格差を付けていたことについて「そのような取り扱いが合理的な理由に基づいて行われているものであるか否かが問われる」とした上で、この点を検討した。
パートと正社員の職務内容は「卸売市場での作業を中核とするもの。仕事場への通勤を要し、その通勤形態としても多くが自家用車通勤という点で両者で相違はない」と指摘。正社員に比べて通勤時間や通勤経路が短いといった事情もうかがわれないとし「職務内容の差異等を踏まえても、本件相違は不合理なものといわざるを得ない」とした。
損害賠償額については、不合理な取り扱いが長年継続していたことによる不法行為の成立を認め、実費の通勤費用が月1万円を超えていたことを踏まえて月5千円を相当と判断した。
●皆勤手当廃止も不当
原告は、月5千円の皆勤手当(正社員は1万円)が2014年の就業規則改定で廃止(正社員は5千円に減額)されたことも不利益変更だと訴えていた。判決は労働条件変更の必要性はなかったとし、差額分月5千円(1人当たり18万5千円)の支払いを命じた。
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