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    青春を奪う戦争に怒り/キネ旬ベスト・テン表彰式/日本映画監督賞の大林宜彦氏

     「2017年キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が2月12日、都内で開かれ、「花筐HANAGATAMI」の大林宜彦監督が日本映画監督賞を受賞した。映画評論家らが投票ですぐれた映画や俳優を選ぶ賞。

     「花筐HANAGATAMI」は、太平洋戦争開戦前夜の佐賀県唐津市を舞台にした、檀一雄原作の青春映画だ。

     かつては軍国少年だったという大林さん。軍医として徴兵された父や、戦意高揚映画を撮るためフィリピンへ派遣された小津安二郎監督らに思いをはせながら、「おやじたち世代の『断念』ばかりの青春を伝える」ことをめざした。

     現在肺がんの闘病中。

    「新藤兼人監督は90代でも新作を発表した。私もあと30年は撮りたい」との受賞コメントには、会場から大きな拍手が送られた。

     外国映画第1位作品は、「わたしは、ダニエル・ブレイク」(英など)。心臓病で働けなくなった50代の主人公と生活保護をめぐる人々の物語。監督は労働者階級を主人公に作品を撮り続けてきたケン・ローチ。受賞に当たり「日本の皆さんも、この物語が自分の経験していることと無縁ではないと感じてくださったから(受賞できたの)でしょう」とのメッセージを寄せた。