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    外国人講師の無期転換を回避/サイマルと旧日仏学院で表面化

     有期契約労働者の無期転換を回避する企業の動きは外国人労働者にも及んでいる。全国一般東京ゼネラルユニオン(連合東京加盟)は、雇い止めと不利益変更の二つの手法で無期転換逃れを画策していると告発している。

     ベネッセコーポレーション傘下で通訳・翻訳事業を行うサイマル・インターナショナルは昨年11月、法人語学研修サービスの講師約100人全員に3月末での雇い止めを通告した。同じベネッセ傘下のベルリッツへの事業譲渡を理由としている。同ユニオンのオルグ担当、ジェローム・ロスマンさんは「事前協議の労働協約を結んでいるのに突然、通告された。会社は黒字でリストラは不要」という。

     譲渡先での雇用保障はない。1年契約を約20年反復更新し、日本で生活基盤を築いている組合員も多い。無期転換を期待していた矢先の出来事だった。

     会社は団交で1・5カ月分の金銭補償を提案。ロスマンさんは「無期転換逃れを許して金銭解決で終了したら、労働者の権利を弱め、社会的に悪影響が生じる。組合は闘う」と語る。

     フランス政府公式機関の語学学校、アンスティチュ・フランセ日本(旧東京日仏学院など)は無期転換の場合、授業数削減と降格による事実上の賃金3割カットへの変更が条件だと提案している。組合は7月にストライキを行ったが学校側の姿勢は変わらず、東京都労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。

     指宿昭一弁護士は「2校とも典型的な無期転換逃れで、巧妙で悪質だ。サイマルもベルリッツもベネッセの100%子会社。企業内のAからBに移す話に過ぎない。これで無期転換ルールを免れるのなら、企業のやりたい放題になってしまう」と批判した。