今年4月以降に本格化する有期契約労働者の無期転換を前に、日本大学が計画していた文理学部の非常勤講師一人の雇い止めが1月28日、団体交渉で撤回された。非常勤講師らが加入する首都圏大学非常勤講師組合の今井拓副委員長は「大学が雇い止め撤回に応じたのは今回が初めて。喫緊のスポーツ科学部と危機管理学部での雇い止めの撤回に向けた突破口にしたい」と話している。
●文科省も調査実施
日本大学は複数の学部で改正労働契約法の無期転換ルール逃れと批判される雇い止めを計画している(昨年12月19日既報)。昨年は、16年4月に新設したスポーツ科学部と危機管理学部で、英語担当の非常勤講師16人全員(当時)が、採用時の約束に反して今年3月での雇い止めを通告された。
両学部の雇い止めについては、組合が「2年での雇い止めは大学の設置計画に違反している」と情報提供したことを受けて文科省が昨年12月、大学に聞き取り調査を行った。組合によると、大学側は授業を外部業者に丸投げ(業務委託)する計画を取り下げ、(1)非常勤講師を雇用継続するか(2)専任教員に授業を担当させるか――の選択を迫られることになったという。
組合は「後続の教員を確保できていないのに雇い止めはおかしい。非常勤講師の雇用を継続するべき」と要求している。
日大では新設の両学部以外にも雇い止めが計画されており、文理学部もその一つだった。
今井副委員長は「今、学内で雇い止め反対をアピールしている。2月中には最終的な結論が出る予定で、両学部での雇い止めを食い止め、全学部に波及させたい」と話している。
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