認知症などで判断能力が衰えてきた人の財産管理や契約行為を支える仕組みが「成年後見制度」です。訪問販売で不必要な高額商品を購入させられたような場合に、後見人が後から契約を無効にすることが可能。入院費や介護費の支払いのための預金引き出しなどの財産管理も後見人が行うことになります。
後見制度には、家庭裁判所に本人や家族が申請し、裁判所が後見人を選ぶ「法定後見」と、本人がまだしっかりしている時に後見人を自ら指名する「任意後見」の二つがあります。
法定後見の場合、裁判所は親族か、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家から後見人を選出します。一方の任意後見は「誰になってもらう」という内容を公正証書にし、必要な時がきたら家庭裁判所に申請して確定します。
認知症高齢者の増加を踏まえ、政府は2年前に法律を作り、成年後見制度の活用を呼びかけています。
一方で、後見人制度を悪用した事件が後を絶ちません。本人のためだけに使うべき財産を後見人になった家族が自分たちの生活費などに流用したり、後見人に選出された弁護士や司法書士が財産を着服したりという事件も起きています。本人の財産額によっては、後見人に支払う報酬が年間数十万円に及ぶケースも。必ずしも使いやすい制度とは言えません。
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