全労連などが1月25に開いた「無期転換運動交流集会」で、北海道労連の黒澤幸一議長が取り組みを報告した。24回以上の市民講座・学習会で権利を知らせ、室蘭工業大学などで無期転換回避の「5年上限での雇い止め」を撤回させた例などを紹介した。道労連は「権利を知りながら労働組合が行動せず、有期労働者の使い捨てを黙認するなら組合の看板を掲げるに値しない」との思いを共有しようと呼び掛けている。
●5年上限を撤回
道労連は2016年11月に非正規労働者の組織化を掲げた「無期転換プロジェクト」を立ち上げ、社会的なキャンペーンを展開している。市民講座を開き、通算5年超の勤続で無期転換が可能になることを広く知らせるとともに、組合の存在をアピール。講座では基本的な権利の説明と併せ、個別相談にも応じているのが特徴だ。
旭川市で昨年開いた市民講座には、医療機関に勤める40代の臨時職員が参加して相談。「1年更新で8年間勤務。『次回(今年3月)は更新しない』との契約書を渡され、泣く泣くサインしたが、働き続けたい」という内容だった。道労連は、いったん合意した契約書を撤回させるには労働組合の交渉力しかないと判断し、医労連に加盟してもらい交渉。雇い止めを撤回させたという。
室蘭工業大学では、全ての非常勤職員に対して5年上限を撤廃させ、無期転換の確約を勝ち取った。北海道大学では1月、緊急の相談会を2日間実施。組合ニュースによると、その案内を兼ねた門前宣伝には「私も対象者です。相談会に行かせてください」という人や、看板を食い入るように見つめる人、慌てて戻ってきてチラシを受け取る人がいるなど、注目を集めた。
●4月には集団申請へ
道労連は16年11月以降の取り組みで72人の非正規労働者を迎え入れている。引き続き市民に声を掛けながら「組織内では絶対雇い止めを出さない」を合言葉に取り組みを加速させる。
4月以降は無期転換の集団申請を行う。権利があっても独りでは言い出しにくいためだ。集団申請用の書式を作成するなど、今から準備を進めている。
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