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    ベア継続と波及の最大化を/電機連合中央委/3千円以上の統一要求を確認

     電機・電子・情報機器製造業の労組でつくる電機連合は1月25、26の両日、横浜市内で中央委員会を開き、開発・設計職の基幹労働者について、定期昇給相当分を維持したうえで3千円以上の賃金改善を求める統一要求基準を決めた。「継続性と波及の最大化」(野中孝泰委員長)を重視し、「社会的責任型闘争」を今年も展開する。

     大手労組が産別スト権を確立して相場形成を図る電機連合のベア春闘は5年目。物価上昇がほとんどなくても、人への投資や経済の好循環実現のために、賃上げをけん引するという、社会的責任を果たす闘争として取り組んできた。

     要求基準は昨年と同額だが、直近4年間で大手・中堅労組のベアの積み上げは7500円に上る。神保政史書記長は「同じ3千円でも価値が異なる」と要求の重みを語る。

     取り組みの「継続性」と併せて重視するのが、「波及の最大化」だ。ベア春闘を始めてから3年目までは、中小のベア獲得組合数は全体(統一闘争に参加する約250組合)の6割程度だったのが、昨年の闘争では、獲得組合が8割に増えたという。

     この傾向をより強めようと、中小企業の賃上げ原資の確保、商習慣の改善などを求める「付加価値の適正循環」を求める社会運動も強める。各種の業界団体との連携や省庁要請、労組の意見を踏まえた適正取引実現への対応を図る。

     討論では、「中小企業は商習慣改善の声を上げにくい。産別としての取り組みを」「官公需発注の改善が必要」など商習慣改善の必要性を強調する声が続いた。要求水準についても、電機は業績が良く「妥当なもの。社会的責任を果たすためにも必要だ」(パナソニックグループ連合)など積極的に受けとめる意見が出された。

     日立グループ連合は、不正検査など相次ぐ企業不祥事について触れ「長年のコスト削減、人件費抑制、無理な商取引もあるだろう。行き過ぎたコスト重視になっていないか。技術、技能の伝承のためにも人への投資が必要だ」。

     

    ●労組が率先垂範を

     

     今年の闘争で力を入れるのが、高卒初任給を3千円引き上げ、16万5千円以上への改善を要求すること。現状は自動車産業と比べ8千円程度低く、人材確保を目的にして訴えていく。企業内最低賃金も現行より3千円引き上げ、16万4千円への到達を求める。

     長時間労働是正では、残業の上限を休日を含めて月80時間以下、年720時間以下とするよう36協定の改善をめざすとした。

     有期雇用労働者の無期転換、正社員化推進、均等・均衡処遇への改善、雇い止めの増加が予想される秋を前に派遣労働者について労使協議の徹底――なども全組合が取り組むべき課題に設定している。

     野中委員長は、無期雇用転換(労働契約法18条)、雇い止め法理の順守(同19条)、不合理な労働条件の禁止(同20条)を一連のパッケージとして取り組むよう呼び掛け、「この問題は毎年発生する。まずは私たち労働組合が本気になって取り組むことが必要だ」と強調した。