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    国際労働運動10大ニュース/2017年も労使の攻防続く

     国際労働運動の注目ニュースを選びました。昨年は5項目でしたが、今回は10項目です。

     

     (1)カタール政府、「カファラ」廃止を約束

     移民労働者を無権利状態で酷使するカファラ制度。国際的な圧力も強まり、10月には国際労働機関(ILO)に廃止を約束。

     

     (2)ウーバー社、各国で反対運動に直面

     脱法タクシー事業を営むウーバー社。デンマークなどから撤退、イタリアでは裁判所から停止命令。英ロンドンでは営業許可取り消しに。労働者性も問われ、米NYでは失業保険受給資格を認定。

     

     (3)ブラジルで労働法改悪などに抗議ゼネスト

     テメール大統領が、労働法と社会保障制度を相次ぎ改悪。前政権までの貧困対策も後退させた。労働者は4月、11年ぶりにゼネストに決起。全国で3500万人が参加したとの報道も。

     

     (4)石油大手シェブロンに豪政府が追徴課税

     豪州海事組合のストが違法とされ、シェブロン社から巨額の罰金を請求された。組合は会社会計を調べ、租税回避目的の支出があると告発し、政府が追徴課税を命じる事態に。これを機に労使が和解へ。

     

     (5)インド・マルチスズキで不当判決

     スズキ自動車のインド子会社で起きた12年の「暴動」で経営幹部1人が死亡し、組合役員を含む労働者が大量解雇に。組合への弾圧事件との見方が一般的だが、3月の判決で組合役員13人が終身刑に。

     

     (6)韓国新大統領、非正規労働改革を最重視

     5月に就任した文在寅(ムン・ジェイン)大統領。就任早々、公共部門の非正規労働者の正規化を打ち出した。仁川空港を訪れ、1万人の非正規の正規化も宣言。推進には困難も予想されている。

     

     (7)南アで左派の新ナショナルセンター誕生

     既存のセンターCOSATUから分離して4月に結成。汚職や縁故主義が続く政権与党・アフリカ民族会議(ANC)と癒着する労組に未来はないと判断。

     

     (8)IUF大会で性的少数者に関する委員会設置

     国際食品労連の世界大会(8月)で、性的少数者(LGBTI)に関する常設委員会が設置され、代表者が副議長に選出された。併せて、労組トップの書記長には女性のスー・ロンリー氏が就任した。

     

     (9)ILOが「仕事の未来世界委員会」設置

     人工知能(AI)などの発展により、労働のあり方がどう変わり、どう対応すべきかを検討するために設置。結論は19年のILO100周年記念宣言に反映される。清家篤・慶応大教授も委員。

     

     (10)インドで労働法改悪反対1・5億人行動

     規制緩和と外資導入を進めるモディ政権による労働法改悪案に対し、9月に全国スト。労組は「解雇が容易になる」と批判し、ストは銀行や交通、製造、建設などに広がった。