「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    国による児童・高齢者虐待だ/市民団体が緊急声明/政府が生活保護引き下げ方針

     弁護士や司法書士、研究者らでつくる生活保護問題対策全国会議は12月11日、厚生労働省が2018年度からの実施を予定している生活保護基準の引き下げ方針を厳しく批判する緊急声明を発表した。夫婦子ども2人世帯で最大13・7%、高齢夫婦世帯でも11・1%の減額が生じる可能性を指摘。「国による一種の『児童虐待』『高齢者虐待』の域に達している感がある」と述べている。

     生活保護基準をめぐっては、これまでも老齢加算の段階的廃止(04年)、生活扶助基準の削減(平均6・5%、13年)、住宅扶助基準・冬季加算の削減(15年)など、相次いで引き下げが強行されてきた。

     同会議は引き下げの根拠が乏しい点を特に問題視。所得階層を10段階に分けた一番下の階層(第1十分位)の消費水準に合わせて生活保護基準を下げるという政府の考え方について、「根本的に間違っている」と指摘する。

     日本では、生活保護を利用する資格がある人のうち、実際に利用しているのは2割以下にとどまる。「生活保護基準以下の生活を送っている人々を大量に含む第1十分位層と生活保護世帯を比べれば、生活保護基準が高くなるのは当然だ」という。同会議は「生活保護基準以下の人々が放置されていることこそが問題だ」と述べ、最低賃金の引き上げや最低保障年金制度による生活水準の底上げが必要だと訴えている。