「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    (上)ネットで簡単に登録/資格などは一切不要

     「ウーバーイーツで働いている人からの相談は来ていませんか?」

     ある集会からの帰り、知り合いの弁護士から尋ねられた。クラウドワーク、シェアリングエコノミーなどともいわれる「雇用によらない働き方」については勉強会などにも参加したことがあるが、どうにも分からないことが多かった。やはり百聞は一見にしかず。実際にウーバーイーツで働くことにした。

     

    ●一言で言えば「出前」。

     

     ライドシェアで世界中に進出しているウーバー。日本では「ウーバーイーツ」(以後、イーツ)としてレストランの「出前」で進出した。契約している店から配達の依頼を受け、料理を客に届ける仕組みだ。

     配達員になるには、まず登録してスマホにアプリをダウンロードし、同社のロゴの入った専用のバッグを受け取る。これだけで配達員になれる。

     仕事を得るには、アプリをオンラインにして注文の入るエリア内で待機。イーツが登録している店舗は複数あるので、どの店からいつ注文が入るかは分からない。

     アプリを起動して待ち、注文が入ると音が鳴る。音が鳴ったら30秒以内にスワイプ(スマホの画面上で仕事を引き受ける意思表示をすること)して店に行き、客に料理を届ける。時間内にスワイプしないと、他の配達員に知らせが行くという仕組みだ。

     料金はネット決済で、店や客との間で金銭のやり取りは一切ない。配達員に支払われる報酬も同様だ。

     この配達員が「雇用によらない働き方」になるという。果たして、本当に「雇用」ではないのか。

     配達員登録はネット上でもできるのだが、どうにもうまくいかず、実際にイーツ本社を訪ねてみた。

     

    ●配達はバイクか自転車

     

     夏の厳しい日差しが照り付ける中、渋谷区にある本社に出向いた。

     受け付けで登録がうまくできなかったことを告げ、手続きを願い出る。タブレットを渡され「分からないことがあったら聞いてください」と住所、氏名、銀行口座などを登録するよう告げられる。決済は米国なので、全てアルファベットで登録せよとのこと。備え付けのテレビでは、イーツの配達に関するプロモーションビデオ(5分程度)が繰り返し流されていた。

     登録を終えると、呼び出されて奥へ。20代の社員らしき女性が自己紹介を済ませると、写真撮影など残りの手続きと仕事について説明してくれた。

     「注文した顧客と、レストランに『この人が行きます』と写真が表示されるので、少し笑顔にしてください」と言われるが、うまく笑顔を作れず、どことなくこわばった表情で撮影を完了。

     配達は自転車かバイクのどちらかを使用するということなので自転車を選択。実際に配達するのは、1カ月ほど先になりそうだと告げて、この日は終了した。