反基地闘争のリーダー、山城博治・沖縄平和運動センター議長が11月23日、都内で米軍の新基地建設反対など「闘いの現状」について語った。政府から弾圧を受けながらも「今抵抗をやめたら戦争が来る」と指摘し、軍備増強が進む沖縄・南西諸島の状況を告発。抗議行動中の器物損壊罪容疑などで訴えられた自身の裁判に関しては「世界自然遺産の登録に値する高江の森を暴力的に壊している人たちの犯罪こそ問うべきだ」と力説した。記者らでつくる日本ジャーナリスト会議と機関紙関係者による「共同インタビュー」での発言。
●戦争を間近に感じる
山城氏は基地建設が強行される沖縄の現状について、「東京からは見えないかもしれないが、戦争が近づいていると感じる。一触即発の状況だ」と表現した。
米軍の辺野古新基地や高江ヘリパッドの建設に加え、与那国島や宮古島、石垣島などへの自衛隊新基地建設やミサイル部隊配備の動きを紹介。「(中国や北朝鮮をにらんだ)戦争最前線の状況にある。戦争をさせてはならない。そうなれば沖縄はこっぱみじんだ」と、声を上げ抵抗し続ける決意を述べた。
その上で、戦争を防ぐには「野党を通じ、仮想敵とみられている国へも出掛けて行って平和外交をすること。平和共存の努力をしたい」と語った。
●国家の暴力こそ問え
山城氏は、5カ月もの勾留を経て現在保釈中。辺野古現地の活動家らとの接触が制限され、外泊にも裁判所の許可がいるという。 問われた微罪(有刺鉄線切断など)に関しては、こう述べた。
「政府は高江のヘリパッド建設を年内(2016年)に終わらせようと厳命し、千人の機動隊でわれわれを排除したため、ゲート前を断念して森へ入って抗議しようと決めた。山道には、われわれを通さないように有刺鉄線が張り巡らされていた。米軍仕様で、先端に針のある刃が付いたもので、触れることさえできない。そこで木に接続している針金の部分を2カ所切断して進んだ。損害額は2千円といわれたが、500円程度だろう」
高江は「神聖な森」とされ、ノグチゲラやヤンバルクイナ、シリケンイモリなど貴重な動植物が少なくない。山城氏は「問われるべきは、(針金の切断ではなく)森を破壊した国家の暴力ではないか」と訴えた。
●翁長知事にも苦言
インタビューでは、翁長雄志県知事の姿勢にも苦言を呈した。「政府が辺野古を埋め立てる砂利を船で運び入れようとした時、知事は港湾使用をみすみす許可してしまった。県民の方は毎日、逮捕者とけが人が続出し、血や汗を流しているのに、知事はやるべきことをやっているのか」と指摘。「オール沖縄」のメンバーとして知事を支え続けるとしながらも「言うべきことは言わなければならない」と述べた。
辺野古現地の座り込みについては「参加者は定年退職者と普通の市民が中心。『しなやかに、緩やかに、時に毅然と』をモットーに、交流しながらやっているのが強み。短時間でもいいので現地に来てほしい」と呼び掛けた。
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