全日本教職員組合が11月21日、都内で会見を開き、教職員の長時間過密労働の抜本的な解決を求める提言を発表した。
教職員の長時間労働は「ブラック部活」が社会問題になるなど深刻化している。文科省の実態調査によると、中学校教員の約60%が校内勤務時間だけで週60時間以上働き、月平均の時間外労働は過労死ライン(月80時間)を越えている状況だ。
全教は問題の根底に、(1)学力テストに象徴される教育現場への競争主義の導入(2)校長に一極集中する教職員の管理強化(3)授業数の増加、(4)貧困など支援が必要な子どもへの対応――があると分析。
抜本的な改善要求として、小学校から高校まで35人学級の実現、教員の授業時間数の上限設定、競争主義的な教育政策からの転換などを挙げた。小畑雅子書記長は「日常的にどこの学校でも過労死ライン並みの時間外労働になっている。今の教員定数では長時間労働は解消されない」と述べた。
提言は時間外・休日労働を原則禁止しているはずの給特法が長時間労働の歯止めになっていないことも指摘した。時間外労働の原則禁止を堅持した上で、実労働分を精算できるよう法改正と予算措置、実労働時間の上限設定を求めている。小畑書記長は「残業代ゼロを進めようとしている政府の動きの中で、給特法の趣旨を手放してしまったら、改善したい方向から逆行するのではないか」と情勢に危機感を示した。
〈用語解説〉給特法
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法。教員の職務と勤務実態の特殊性に応じ、時間外・休日手当を支給せずに俸給月額の4%を教職調整額として支給するもの。時間外手当請求訴訟などが各地で起きたことを背景として1972年に施行されました。職員会議や災害時の緊急措置などの業務に限り時間外労働を命じることが認められていますが、実際はそのようには運用されていません。部活動は、教職員の自発性によるものとして、時間外労働とは認められていません。支給率4%は、1966年の文科省調査結果の残業平均時間である月8時間分を根拠としています。
コメントをお書きください