自動車大手のトヨタや日産などで、有期雇用労働者のクーリング期間(雇用されない期間)が6カ月に変更され、来年4月に始動する無期転換ルールが適用されなくされた問題で、連合は11月16日、相原康伸事務局長名の談話を発表した。談話は「法律の趣旨、並びに、法改正を契機に雇用の安定と処遇改善を一層広げていこうとしている私たち連合の運動に照らせば残念と言わざるを得ない」と指摘。構成組織には法の趣旨を踏まえた適正な運用の徹底を、政府に対しては実態把握と必要な対応を求めていくとしている。
相原事務局長は同日の定例会見でこう述べた。
「産業の特性上、生産変動に無理なく対応するため、働く者の納得を得た上で、かねてからこうした雇用形態がある。ある意味合理的な法対応であったのも事実だが、(他産業に)悪乗りされると困ると危惧している。安定的に雇用が続くよう非正規から正規に転用していくうねりと社会的な基調をつくるのが法の精神。『大手でもこういう事例があるではないか』と言われ、この運動の社会的規範をつくる上で不利益となることに警鐘を鳴らしたい」
同法の無期転換ルールは勤続5年を超える見込みの有期雇用労働者が希望する場合、使用者は無期雇用に転換する義務がある。しかし、通算の契約期間が1年以上の場合、6カ月のクーリング期間を設ければこの規定は適用されない。法改正の検討当時から合法的な「抜け穴」となることが懸念されていた。
談話は、施行8年後の2021年に予定されている同法の見直しに触れ、「必要な法改正を求めていく」とするとともに、有期雇用労働者の雇用安定の取り組みを引き続き進めていくとしている。
コメントをお書きください