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    大幅アップはなぜ実現したか/韓国最賃運動の今/安周永・常葉大学准教授が講演

     地域ユニオンなどでつくる「最低賃金大幅引き上げキャンペーン2017実行委員会」が、最賃大幅引き上げを実現した韓国の運動に学ぼうと10月28日、都内で集会を開いた。日韓の労働運動に詳しい常葉(とこは)大学の安周永(アンジュヨン)准教授が講演した。

     

    ●「最低賃金連帯」の役割 

     

     今年7月、韓国の最低賃金を決める「最低賃金委員会」が18年の最賃を時給7530ウォン(約750円)にすることを決定。2000年代以降、最大の上げ幅となった。安氏は「文在寅政権になってから急に大幅引き上げが実現したのではなく、これまでの運動の成果」と指摘した。

     安氏によれば、韓国の最賃引き上げ運動は、労働組合が世論へのアピールを重視し、デモやストライキで訴えてきた。02年には韓国の労組ナショナルセンターや、政党、市民団体など31団体で「最低賃金連帯」を結成。最賃引き上げに向けた横断的な取り組みを続けてきた。17年の大統領選では各候補に最賃に関する公約を問うなど、争点化に取り組み、大幅引き上げの実現につなげたのだという。

     安氏は「政党にとって、最賃引き上げは自営業者らの票を失うリスクがある政策であり、世論を巻き込んだ社会ムードの盛り上げが重要だった。日本でもナショナルセンターの連合が先頭に立ち、ワンイシューで連帯する必要があるのでは」と提案した。