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    狙い撃ちで3度降格・減給/久光製薬の50代男性/「無効」訴え東京地裁に提訴

     製薬会社大手・久光製薬の50代男性社員が、病気療養のための休職から復帰後、3回にわたり不当に降格・減給されたとして、同社を相手取り東京地裁に提訴した。男性が加入する東京管理職ユニオンが10月26日に会見を開き、明らかにした。 

     原告の男性は入社30年目のベテラン社員で、部長や子会社の副社長などを歴任。通販事業部の部長だった2011年ごろに新規事業立ち上げに伴う激務で体調を崩し、1年間会社を休職した。上司からは「今は体を良くすることだ。またすぐに(部長に)復帰できる」と言われ総務部の課長に降格された。ところが、復帰後も部長に戻ることなく、説明もないまま給与を月約15万円減額された。 

     15年には総務部の一般社員に降格。納得がいかずユニオンに加入すると、同社の取締役法務部長に呼び出され、「人間関係がぎくしゃくするし、やりづらくなるよ」などと詰問された。会社は男性に対し「仕事が劣化した」として、さらに給与を減額。ユニオンは「不当労働行為の疑いがある」と訴えている。

     同社は06年に「HAT等級制度」という独自の職務等級制度を導入した。ユニオンの鈴木剛委員長は「明確な基準がなくトップの主観で好きに給料減額・降格に利用しているのが実態」と指摘。男性が一般職に降格させられたのも、当時の社長(現会長)の一存だったという。

     代理人の新村響子弁護士は「過労によるメンタル悪化が喫緊の課題となる中、久光製薬は『病気で休まれたら迷惑』と言って不当な降格を行っている。大企業としての責任が問われるべき」と強調。裁判では降格と減給の無効の確認や、未払い残業代の支払いなどを求めている。