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    「野党共闘はかろうじて維持」/総選挙結果/中野晃一上智大学教授に聞く

     森友・加計問題などで安倍政権への批判が高まるなか行われた解散総選挙。選挙結果をどう見るか、野党共闘を進める市民運動の中心メンバーである上智大学の中野晃一教授(政治学)に聞いた。

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     安倍首相による解散権の乱用から始まった今回の選挙では、野党が割れたことによって自民党を大勝させる結果になった。与党は改憲の発議に必要な3分の2の議席を得たが、その点は選挙前と同じ。内閣支持率は依然として低いままだ。安倍政権が選挙後すぐに9条改憲の国民投票までできるかといえば、かなり先行きは不透明だ。

     民進党が希望の党に「合流」したことにより、野党共闘は壊れてしまったように見えたが、立憲民主党が立ち上がり、ギリギリのところで共闘を維持することができた。

     選挙の結果、「安倍政権の9条改憲に反対」を明確にした立憲民主党が野党第一党になったことで、改憲は選挙前より難しくなった。公明党から立憲民主党に一定の支持層が流れ、議席数を減らしたことも大きい。支持母体である創価学会の支持を失うことを警戒し、公明党は今後の改憲論議に慎重になると予想される。

     時間がない中での野党共闘は不完全だった。社民党は苦戦、共産党は議席を減らしたが、立憲民主党の結党は共闘を進めてきた市民運動の一つの成果だ。立憲民主党には国会内でも野党共闘路線を貫き、安倍政権とはっきり対峙(たいじ)していくことが求められている(談)。